ドイツ音楽紀行
2008-03-11T05:59:18+09:00
hummel_hummel
絵画・文学・歴史・自然への旅+オペラ日記 byフンメル
Excite Blog
冬の旅
http://hamburg.exblog.jp/8356241/
2008-03-02T08:12:00+09:00
2008-03-11T05:59:18+09:00
2008-03-02T11:12:11+09:00
hummel_hummel
演奏会@ミュンヘン
※このハリケーンについては、幾つかの動画がアップされていますが、ニュースでも大きく取り上げられたのはこちら。
私個人の目から見ても、不思議な天気でした。今朝、遅めの朝食をとっている間だけでも、めまぐるしく窓の外の景色が変わりました。パンを一個を食べる間に、雨が霰になり、大粒の雪になり、あっという間に真っ白な雪景色に。久々に冬らしい銀世界を見た気がします。しかし、しばらすると一転して、青空が広がって、あっという間に、雪は無くなってしまいました。
そして真っ青な空から、強烈な日差しが。そうすると、窓ガラスの汚れや、家の中の埃が気になってしまって。。もともと悪天候の中外出するつもりがなかったので、大掃除をすることに(汗)。窓を拭いたのは勿論この冬初めて(夏に拭いたかどうか?汗)。窓は掃除の間、開け放してましたが、小鳥のさえずりも聞こえ、爽やかでした。庭の芝生でこけている小さなクロッカス達が可哀相でしたが。しかし、再び風が強くなり、上空の雲の動きが早くて、暗くなったり、強い日差しが戻ったりの繰り返し。
3月の始まりがこんな風に劇的な天候だったせいもあって、暖かかった2月は良かったなと、すでに懐かしくなっています。先月は幾つかのコンサート・オペラに行きましたが、圧倒的に印象に残っているのが、シェーファーのリサイタルと、シュトゥットガルトの「さまよえるオランダ人」(カリスト・ビエイト演出)です。
まずは前者、クリスティーネ・シェーファーの「冬の旅」リサイタルについて。
シューファーは、06年にCDをリリースしており、同曲のツアーを世界中で行っているので、すでに聴かれた方も多いことでしょう。
最初の「GUTE NACHT」で、淡々と、かつヒヤリとした音色で歌い始めた時はこんなものかと思ったものの、すでに同曲の終わりくらいからは、徐々に熱を帯びてきた歌唱と共に、ミュラーの詩の世界に入り込ませてもらいました。シェーファーは冷たさと熱さのコントラストをつけながらも、とてもナチュラルで暖かみのある声で、24曲全体を通してのドラマを作り上げていたと思います。
ヘラクレスホールの夕べは、ほぼ満員でした。曲の渋さゆえに、客の入りは悪いんじゃないかと思っていたのですが。「冬の旅」はシューベルトの歌曲の中でも、勿論、人気の高い作品でしょうが、曲としては渋くて陰鬱で、私としてはCDで自宅で通して聴く気にはちょっとなれないのですが。
聴衆にとっても聴き通すことにかなりの集中力を要するものを(・・周囲の集中力は、5曲目の有名な菩提樹が終わったくらいで途切れ始めてたような)、休み無く歌い続ける歌手の集中力とそのエネルギーに敬意を覚えましたね。当たり前と言えばそれまでですが。
冬の旅を全曲通して、じっくりと歌詞と向き合ったのは、おそらく初めてのこと。時折、主人公のあまりのロマンチストぶりや絶望ぶりには、(失礼ながら)苦笑を覚えたりもするのですが、シューベルトの曲に併せてじっくりと向き合ってみると、ミュラーの詩は全然悪くないです。どちらかと言えば、シューベルトの曲ゆえに知られている詩人のような気がしますが、ミュラーはひょっとすると天才詩人かなとも。
ヴィルヘルム・ミュラー(Wilhelm Müller)は、1794年生まれの1827年没ですから、シューベルト(1797-1828)の3年前に生まれ、1年後に亡くなっています。ほぼ重なる人生と言え、また、共に夭折の、現実の人生では恵まれることの少なかった(であろう)芸術家と言えるでしょうか。
一曲ごとの詩の素晴らしさはさておき、ラストに「Der Leiermann(辻音楽師)」という、少々風変わりな詩をもってきて物語を終えるという構成のうまさや、シューベルトが付けた曲のすごさを思い知らされました。「私(主人公)=辻音楽師」、つまり、「死を切望する主人公が、いつのまにか死を前にした老人となっていた」という解釈が、すとんと胸に落ちて響きました。もちろん、夭折のミュラーは自分の詩にはそういう意味を込めておらず、文字通りの意味に過ぎないでしょうが。これって、聴き手が単に歳をとったということですかね。(汗)
不思議な老人よ、お前と旅を共にすべきか?
私の歌に合わせて、オルガンを回してくれないか?
Wunderlicher Alter, Soll ich mit dir gehen?
Willst zu meinen Liedern Deine Leier drehn?
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パートナッハクラム
http://hamburg.exblog.jp/8319507/
2008-02-26T06:15:00+09:00
2008-02-27T00:00:34+09:00
2008-02-26T06:15:40+09:00
hummel_hummel
アルプス・自然・マラソン
こちらは暖冬です。今年に入ってから、ずっと晴天の日々が続いている印象があります。最近、日本に一時帰国していました。暖かさを求めて日本に行ったんですけどね・・・、北国ミュンヘンの方が暖かくて、拍子抜けでした。日本は家の中が寒いと、毎回思いますが、そういった事情は別としても。
ガルミッシュ・パルテンキルヘン近くのPartnachklamm渓谷の氷の景色です。
昨日の日曜が、暖冬の一番のピークだったと思います。20℃近くという予報でしたが、感覚としては、初夏を思わせるような気候。久々に英国庭園に出かけてみると、陽気に誘われて、ものすごい人出。ポカポカの屋外のビアガーデンでは、私も周囲の人たちと同じく、Tシャツ姿で、ビールを飲みました。こんなことは、さすがにこの冬初めてのことです。
「いやー爽やかだねー!」と散歩していると、ここは英国庭園。。すっぽんぽんのオラウータンたちも出没していました。さすがに、彼等をみたのも、今年はじめて。。
暖冬と言いながら、寒々しい写真を載せてしまいます。(汗)
同じドイツでも、北の方は今ひとつだったみたいです。昨日はハンブルクの選挙だったので、ニュースでよく町の映像が映されましたが、曇り空で寒そうな様子。一方、フライブルクやシュトゥットガルトのドイツ南西部は、ミュンヘン以上の暑さだったみたい。
そんな晴天に恵まれたここ最近は、雪景色を求めて、よくアルプスの山に出かけました。といっても、バイエルンレベルの山だと、頂上付近まで行かないと、今年は雪は無いのですが。ちなみに、この冬はクロスカントリースキーを始めるつもりだったんですが、そんな雰囲気では全然なくて、諦めました。
暗闇の先に光り輝く滝・・・も、やはり凍っていました。
この冬、一番寒々しい思い出が、パートナッハクラム(Partnachklamm)です。
ガルミッシュ・パルテンキルヘンのパルテンキルヘン側の国道を走り、博物館になっているR.シュトラウス・インスティテュートを過ぎてしばらくで、オリンピックスタジアム(Olympiastadion)に到着。現在はスキージャンプのW杯会場として有名なジャンプ台が見えます。ウィンターリゾートの草分け的な土地で、かつ、20世紀初頭に冬季オリンピック会場です。1930年代のオリンピックということで、時代ゆえに、少々大げさな作りですが。
スタジアム前の駐車場に車を停めて、パートナッハ川沿いを歩いて渓谷へ向かいます。スタジアムもジャンプ台と、脇のアルペンコースには雪があるものの、周囲にはまったく雪がないですね。空気は暖かだし、目指すパートナッハクラム渓谷はちゃんと凍っているのだろうか?と心配でしたが、まったくの杞憂でした。
標高983メートルですから、決して高くはないのですが、切り立った岩壁に挟まれた細い渓谷は、まさに冷凍庫状態です。岩壁から滴り落ちてくる水がツララになっているのは勿論、高い岩山の上から落ちてくる滝までもが全て凍りついていました。壮観です。まさに、自然が作る芸術作品、ですね。
それにしても、寒い!渓谷に張り付いた歩道を渡りきる頃には、身体の芯まで、すっかり凍えてしまいました。
渓谷を抜けた後は、一路、エックバウアー山(Eckbauer)へと向かいました。天気が良いこともあって、凍えた身体はあっという間に暖まり、汗が噴き出してきます。1,237メートルの山頂付近になると一面雪景色。山小屋のテラスで、日向ぼっこをしながら飲むビールは格別です。
帰路は山の北側斜面を降りて行きます。途中のヴァンベルク村は、教会をもつ村としてはドイツでもっとも標高が高いとか。登りと違い、山の北側なので、雪が残っており、所々は凍りついています。目の前のヴァンク山(Wang)の南斜面は、日当たりが良くて全く雪はなし。日向と日陰の差の大きさを実感しました。
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Prosit Neujahr!
http://hamburg.exblog.jp/7885204/
2008-01-02T01:21:00+09:00
2008-01-03T07:28:48+09:00
2008-01-02T01:21:07+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
Prosit Neujahr!!
皆様にとって、2008年が素晴らしい一年になりますように!
昨夜の大晦日(ジルベスター)は、ミュンヘン恒例の「こうもり」公演に行ってきました。
指揮をはじめ、多くの歌手は昨年と同じですが、今回はアイゼンシュタイン役のヴォルフガング・ブレンデルさんの存在が大きく、全体を引き締めていたように思います。皆さん芸達者で、音楽だけでなく、芝居として楽しませてもらいました。
休憩後の観客を巻き込んでの演出は相変わらず。夜会のゲストは、四手ピアノx2台による楽しい演奏と、ソプラノのマリア・グレギーナ。昨年は、バヴァリアン・コメディアン3人組のコントが延々と続いて、周囲の笑いから取り残されて悲しい思いをしたのですが、今回は彼らの登場はなく、ホッとしました(笑)。
2幕から3幕は、あっという間の場面転換ですが、ここでオケを交えての楽しい仕掛けが幾つか(去年も同じだったかどうかは忘れました・・汗)。3幕では、フロッシュのギャグについていくのはやはり厳しかったですが(汗)、音楽面ではまったく満足で、一年のオペラ観劇の素晴らしい締めくくりができました。お土産には、他の観客たち同様、カラフルな紙テープをもらってきました(笑)。
凱旋門(Siegesor)周辺では、年越しの花火が延々と打ち上げられました。写真ではほとんど煙ですが(汗)。
観劇後、10時くらいから夕食をとって、そのまま大通り(レオポルト通り)に出て、花火をみながら年越しでした。戦場のような喧騒と硝煙の中で、怪我しなかっただけでも、今年はラッキーかも。
今日の元旦は二日酔い気味の中で朝食をとりながら、TVをつけると、アーノンクールによる99年ウィーン芸術週間の「こうもり」のリハーサルやインタビューを流していました。昨夜の公演を思い返しながら観ていましたが、アーノンクールほどにディテールを磨き上げたこうもりだと、喜劇とはいえ笑ってばかりではいられないですね。
そして、ニューイヤーラン(Neujahrslauf)へ!
元旦から走るとは、我ながら物好きだなあと思いながら、王宮公園へ。一体どれだけの参加者がいるのかと不安でしたが、約100人が集結した(らしい・・写真を見ると少ないけど)。この主催者のお兄さんは、たった一人で、レースを切り盛です。受付から、司会、プレゼントの準備や、記念撮影まで、何人分もの労働を大忙しです。ちなみに彼が、2年前に初めて開いたときは、参加者たった8人だったとか!
ニューイヤーランは参加者が少なくて寂しかったですが、アットホームで、ほのぼの・爽やかなレースでした。スタート前は寒かったですが、お揃いの青い帽子が暖かかったです。(^^)
このレースはタイム測定もなくて、「標識もないので、道にはぐれないよう、なるべくグループで走ってください!」という適当な感じ。あくまで楽しく新年を走りましょうという趣旨。コースは英国庭園内を7キロ。すべりどめの砂利がまかれているものの、時折ツルツルとすべってしまい、足元に注意が必要でした。(昨夜のこうもりでも、遅れてオルロフスキー候の夜会に到着したフランクが、「道が凍っていて、まだ砂利をまいてなかったので遅刻した」とタイムリーなギャグを言ってましたが、ホント、昨日の午後、いきなり雪が降り出して、道路が凍りついてしまったんですよね。)
公園内は、散歩する人や、普通にジョギングしている人たちもすでに沢山いて、普段通りといった感じ。レースはとても気持ちよく走れ、なかなか爽快な元旦になりました。
ゴール後は、暖かいドリンクと、シュトレン。そして、スポンサー(小さなレースですが、ちゃんとスポンサーがついてました)から、rivella(スイス製のジュース)と、Erdingerの白ビールが。普段はノンアルコールですが、新年ということで、ちゃんとしたビールが配られました。(^^)
英国庭園内の大きな池は、完全に凍りついており、氷上には、散歩、スケートやホッケーを楽しむ人で大賑わいです。手前のベンチもすでに氷上です。
元旦から走っていたので、今年はウィーンフィルのニューイヤー中継はまあいいかと(・・録画するほどでもないし)諦めていましたが、帰宅後、カイザーワルツァーから、最後の5曲を聴くことができました。15分の中継時差のお陰もありますね。
ジョルジュ・プレートル指揮、色々な意味でおもしろいですよね。アンコール一曲目はSPORTワルツ!でしたが、VPOの応援を受けて、開催国の代表チームはEURO2008で、どこまで勝ち進めるか?
青きドナウのバレエでは、楽友教会の入口ホールが映った時はあらっと。毎年、どこの宮殿が舞台になるのだろうと楽しみなんですが、コンサート会場そのものとは灯台下暗し。ちなみに今年は、ORFのTV中継がはじまって50周年だそうです。休憩中の映像がどこまで気合が入っていたかだけが気がかりです。やはり録画しておくべきでした(笑)。
来年(09年)は、バレンボイム指揮で、これまた今から楽しみですね。
それでは、2008年もよろしくお願いします!
P.S.
一番上の2つの写真は、初日の出の瞬間では、全然なくて、夕日(日没)の写真です。(汗)
英国庭園内のギリシャ風東屋モノプロテロスから、撮ったもの。イメージ写真として、ご容赦下さい。
Die Fledermaus Johann Strauß
Musikalische Leitung Friedrich Haider
Nach einer Inszenierung von Leander Haußmann
Regie Helmut Lehberger
Gabriel von Eisenstein Wolfgang Brendel
Rosalinde Ildiko Raimondi
Frank Alfred Kuhn
Prinz Orlofsky Gabriele Schnaut
Alfred Janez Lotrič
Dr. Falke Martin Gantner
Dr. Blind Ulrich Reß
Adele Aleksandra Kurzak
Frosch Jörg Hube
Ida Beate Vollack
ゲスト Maria Guleghina
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復活?
http://hamburg.exblog.jp/7869532/
2007-12-31T10:25:00+09:00
2007-12-31T10:57:49+09:00
2007-12-31T10:25:19+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
ご無沙汰していたのに何ですが、皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい!GUTEN RUTSCH!
「復活」といえば、一つ、つまらない事が頭にひっかかっています。アッター湖畔シュタインバッハを訪ねたときの話。マーラーの作曲小屋の中に置いてあった、訪問者によるサイン帳を、パラパラとめくっていると、“あなたの「復活」のお陰で、私は復活した!”という一文が(ちなみに日本語でした・・)。この文句の裏には、深い物語が隠されているような気がしませんか?(単なる思いつきのジョークかもしれませんが・・)。これ、何年も前の話なのですが、「復活」と聞くたびに、なぜか思い起こしてしまうのです。
ちなみに私は復活の2楽章が以前から好きでした。あのほのぼの感が、いかにもザルツカンマーグート風ですね。全曲通してはあまり聴きかないので、なかなか復活させてもらえないかもしれませんが。(汗)
ザルツカンマーグート、ザンクト・ヴォルフガングのクリスマスマーケットは個人的にお薦めです!
復活続きで言えば、時折、こちらにもコメントをくださる角田祐子さんのブログをのぞいてみたら、「ふっかーつ・・・?」と?彼女、N響の第九を歌ってたんですが、かなりの体調不良、喉の痛みをおしての登板だったようです。第九って、ソロの歌もつらいですが、出番が来るまで待ってる間もつらいんじゃないかと。歌手という職業は大変ですね!
角田さんの活躍されているシュトゥットガルトでは、今年幾つかの素晴らしい公演に出会えました。まだブログに載せていないものが結構あるのですが(汗)、いずれまた。
同じザンクト・ヴォルフガング湖畔のザンクト・ギルゲンのクリスマスマーケット。バロックな装いながら、かなり素朴です。神童アマデウス像のまわりも可愛い屋台が並んでいました。
ところで、今、TVでトリスタンとイゾルデを見ています。つまり、私の場合、この曲のお陰で、ブログに復活でした・・・というほど大したことでもなく、単にTVを見ながら暇だったので、久々にPCに向かって書き始めて訳です。(汗)
2幕途中から、たまたま観始め、3幕冒頭で指揮者が映ったところで気づいたのですが、これ、スカラ座の今シーズン目玉公演のものでした。しかしながら、シェロー演出はかなり凡庸に見え、バレンボイムも響きにも、いつもの輝きがなく聴こえてしまうのが不思議。これはきっとTVを通しているからでしょうね。その場にいたら、きっと違うんでしょう。
ただ、さすがスカラと思ったのが、カーテンコールで舞台に降り注ぐ花(笑)。そして、終曲で全く余韻を楽しまずに、間髪入れずブラボーがおこるのも、さすが(笑)。最初のブラヴォーで、バレンボイムがびっくりして顔をしかめてたのが印象的でした。
トリスタンといえば、11月には、結局3回もトリスタンを見ました。3度見ても、まったく飽きませんでした。ケント・ナガノの指揮は、私の好きなバレンボイムとは方向性が全然違うんですが、静けさに満ちた後ろ向きなワーグナーで、これもまた良いんですよね。コンヴィチュニー演出が幾重にもたたみかけて感動を与えてくれました。
イヴには、「きよしこの夜」が誕生したオーベルンドルフのクリスマスミサに行きました。身体の芯まで凍えましたが、素朴なミサで心を暖めてもらいました。
今月聴いた中で、一番の感動をもらったのは、バイエルン放送響によるバッハのミサ曲ロ短調です。クリスマス休暇直前の21(金)のことで、この演奏会前、私はボロボロに疲れきっていたのですが、頭と体に蓄積していた疲労を綺麗に流してもらった感があります。音楽の癒しの力というものを思い知らされました。これも復活(?)の曲といえましょうか。
ヘンデル風の明るさと華麗さを持ちながらも、バッハらしい神々しさを兼ね備えた名曲を、コープマンの丁寧な指揮でしっかりと聴かせてもらいました。彼の熱心な指揮姿には、多くの人が、サンタクロースと重ね合わせて見ていたのではないでしょうか。白髪のトンおじいさんには、赤白のサンタ帽が似合ったはずです。
(他にも、ブログに書いた以外で、幾つかの公演を聴いているのですが。。自身の備忘録のために、下に貼り付けておきます。心に残るものは、しっかりと残っているので良いのですが、データとして、すぐに検索して引っ張り出せるために。。)
それでは、皆様、来年もよろしくお願い致します。]]>
備忘録(配役表)
http://hamburg.exblog.jp/7869708/
2007-12-30T10:55:00+09:00
2007-12-31T10:56:12+09:00
2007-12-31T10:56:12+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
◆不思議の国のアリス
Alice in Wonderland Unsuk Chin
Musikalische Leitung Kent Nagano
Inszenierung, Bühne und Lichtkonzeption Achim Freyer
Kostüme, Masken und Puppen Nina Weitzner
Alice Sally Matthews
Cat Sine Bundgaard
Mad Hatter / Duck Dietrich Henschel
White Rabbit / March Hare / Badger Andrew Watts
Mouse / Dormouse / Pat / Cook / Invisible Man Guy de Mey
Ugly Duchess / Owl / Two Cynthia Jansen
Queen of Hearts Gwyneth Jones
◆ラ・ボエーム
La bohème Giacomo Puccini
Musikalische Leitung Marco Armiliato
Inszenierung Otto Schenk
Mimi Krassimira Stoyanova
Musetta Aga Mikolaj
Rodolfo Roberto Aronica
Marcello Martin Gantner
Schaunard Christian Rieger
Colline Steven Humes
Parpignol Ho-Chul Lee
Benoît Alfred Kuhn
Alcindoro Rüdiger Trebes
Ein Zöllner Adrian Sâmpetrean
Sergeant der Zollwache Holger Ohlmann
◆ラ・チェネレントラ
La Cenerentola Gioachino Rossini
Musikalische Leitung Riccardo Frizza
Inszenierung, Bühne und Kostüme Jean-Pierre Ponnelle
Don Ramiro Antonino Siragusa
Dandini Nikolay Borchev
Don Magnifico Bruno Praticò
Clorinda Chen Reiss
Tisbe Helena Jungwirth
Angelina Silvia Tro Santafé
Alidoro Eike Wilm Schulte
◆ホヴァンシチナ
Chowanschtschina Modest Mussorgsky
Musikalische Leitung Kent Nagano
Inszenierung, Bühne und Kostüme Dmitri Tcherniakov
Iwan Chowansky Paata Burchuladze
Andrej Chowansky Klaus Florian Vogt
Wassilij Golizyn John Daszak
Bojar Schaklowity Valery Alexejev
Dossifej Anatoli Kotscherga
Marfa Doris Soffel
Altgläubige Helena Jungwirth
Lana Kos
Anaïk Morel
Schreiber Ulrich Reß
Emma Camilla Nylund
Warsonofjew Marc Pujol
Kuska Strelitze Kevin Conners
◆王子王女
Königskinder Engelbert Humperdinck
Musikalische Leitung Thomas Rösner
Inszenierung Andreas Homoki
Der Königssohn Robert Gambill
Die Gänsemagd Juliane Banse
Der Spielmann Roman Trekel
Die Hexe Catherine Wyn-Rogers
Der Holzhacker Christoph Stephinger
Der Besenbinder Ulrich Reß
Ein Kind Talia Or
Der Ratsälteste Andreas Kohn
Der Wirt Rüdiger Trebes
Die Wirtstochter Heike Grötzinger
Der Schneider Kenneth Roberson
Die Stallmagd Cynthia Jansen
◆第6回アカデミーコンサート
Les nuits d'été Hector Berlioz
Symphonie Nr. 5, B-Dur, op. 100 Sergej Prokofiew
Leitung Tugan Sokhiev
Sopran Anna Caterina Antonacci
◆バイエルン放送響
Dirigent: Mariss Jansons
Carl Maria von Weber Ouvertüre zu "Oberon"
Paul Hindemith "Symphonische Metamorphosen" über Themen von Carl Maria von Weber
Johannes Brahms Symphonie Nr. 1 c-Moll op. 68
◆バイエルン放送響
Dirigent: Ton Koopman
Carolyn Sampson, Sopran
Daniel Taylor, Altus
Charles Daniels, Tenor
Klaus Mertens, Bass]]>
エヴゲニー・オネーギン
http://hamburg.exblog.jp/7537020/
2007-11-25T22:24:00+09:00
2007-11-25T23:04:14+09:00
2007-11-25T22:24:53+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
ポーランド人演出家Krzysztof Warlikowskiにとって、ドイツでのオペラ演出デビュー作でしたが、最近のプレミエの中では(・・バイエルンのプレミエの中では)、断然面白かったです。評判は特に良くなくて、期待しないで見たせいかもしれませんが。
以下、ほんの少しネタばれです。
開演前から仕掛けがあり、20世紀(おそらく1960年代)への読み替え。前半は、物語を変換させつつも、ぴたっぴたっとはめ込んでいて、細かなところまで良く出来ていたかなと。しかし、いささか、薄っぺらかなとも。
3幕オペラを、2部構成にし、2幕2場の決闘シーンから後半をもってきたのですが、これは、ドラマの意味づけという点では成功していたと思います。実は前半を終えたところで、後半の展開も読めたような気でいたのですが、良い意味で裏切られました。ネタバレはしませんが、親友同士の決闘による死や、公爵邸で初恋の人との再会などという19世紀的設定は、現代ではありえませんよね。
特にレンスキーとオネーギンの関係などは、チャイコフスキー自身の人生をあてはまていて、私は素直に感心したのですが。。ポロネーズが終わった途端に、ブーイング(・・観客の総意を得ているであろう盛大なブー)が飛んできて、現実に引き戻されてしまいましたが。。保守的な観客にはうけないかもしれません。。
歌手陣では、主役の二人が特に素晴らしく、オネーギンのミヒャエル・フォレは力強い歌唱でドラマを盛り立てていたと思います。
オルガ・グリャコヴァのタチヤーナは「はまり役」でしょう。でも、手紙の場面(・・もちろん演出上、手紙は書かない)では、「グリャコヴァならもっと良いのでは?」と少し物足りなさを感じたのですが、ラストに向かっては圧巻でした。演技面でも前半の少女役と、後半の大人の女性役をよく対比をつけていたし、舞台上の姿も美しいし、やはりグリャコヴァ@タチヤーナは「はまり役」だなと。
Eugen Onegin Peter I. Tschaikowsky
Musikalische Leitung Kent Nagano
Inszenierung Krzysztof Warlikowski
Larina Iris Vermillion
Tatjana Olga Guryakova
Olga Elena Maximova
Filipjewna Elena Zilio
Eugen Onegin Michael Volle
Lenski Christoph Strehl
Fürst Gremin / Saretzki Michail Schelomianski
Triquet Guy de Mey]]>
トリスタンとイゾルデ (その2)
http://hamburg.exblog.jp/7482798/
2007-11-20T06:11:00+09:00
2007-11-20T06:22:23+09:00
2007-11-20T06:11:48+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
ミュンヘンから少し南下してアルプスに近づくと、すでに一面銀世界。下の写真は、週末に行ったエッタール(Ettal)。修道院と地ビールで有名な山間の村です。雪を目指して行ったわけなのですが、あまりの寒さに凍えてしまいました。折角なので(?)、寒々しい写真を貼り付けておきますね。
オペラでも、これから冬にかけて、風邪のための代役が多くなる季節がはじまります。。
トリスタン再演初日があまりに良かったので、二回目の公演にも来てしまいました。11月中に4回公演があるのですが、マイヤーがイゾルデを歌う1,2回目を狙ったわけです。3,4回目を務めるリンダ・ワトソンが特に悪いというわけではないのですが、まあ、折角ならと。
ちょうど1週間の間隔で、再び日曜の午後4時開幕。中6日は、普通であれば、歌手にとっては休養充分といったところでしょうが、この数日間のミュンヘンの寒さを考えると、風邪をひいちゃう歌手もいるだろうなと一抹の不安。
劇場で配役表をチェックし、降板・代役がいないのを見て、ホッ、、としたのもつかの間、公演前に挨拶があって、「ここ最近の寒さで、マイヤーが風邪をひいてしまいました・・・」と。でも、「不調ながら歌います」とのこと。
なるほど確かに一幕は、高音域が一本調子で表現力が乏しいような気がしました。でも言われなければ気づかなかったかもといった程度で、このまま歌いきれるかとも思ったのですが。。一幕の無理がたたり、2幕以降は歌うことが出来なくなって、あえなく途中降板!
どうなるかと思いきや、1週間後に歌う予定のリンダ・ワトソンが歌うことに。こういった交代劇というのは、舞台裏でどんな騒ぎがあったのか、気になるところです。アナウンスによれば、「彼女は数分前に劇場に駆けつけたばかり」だとか。
マイヤーの病状で、事前にある程度の打診はあったんじゃないかとは思うのですが、それでも、イゾルデという大役で、2幕からのロングリリーフをつとめるというのは大変なことだったでしょう。急な登板にもかかわらず、立派なイゾルデを歌い上げてくれました。ワトソンはストレートに良いワーグナーソプラノですね。
ちなみに、この日は、ワトソンさんの誕生日だったそうです!いやはや、忘れられないバースデーになったことでしょう。お祝いの途中で抜け出して、歌う羽目になったのでなければいいですが。
トレリーヴァンの声質は、やはり好みじゃないなあと思いつつも、これだけ歌ってくれればもう充分満足。特に2幕以降は、相方交代の危機感や、脇の男性歌手陣の良さにひっぱられてか、先の公演に続いて見直してしまいました。
ルネ・パーペに関しては、他の歌手陣を圧倒しがちなので、マルケ王くらいのスポット的な役割くらいがちょうどいいかもと思うくらいでした。絶賛するのみです。今夜は弱音の聴かせ方もうまいなあと感心。初日に比べると、やや低調気味の聴衆も、2幕後のパーペに対してのカーテンコールのブラヴォー&足の踏み鳴らしはすごかった。
ミヒャエル・フォレも存在感のある強靭な歌唱で、圧巻のクルヴェナールでした。バイロイトのマイスタージンガーで、フォークトと並んで高い評価を得ていたことにも納得です。しかし、オネーギンやクルヴェナルを聴く限り、ベックメッサーというイメージではないですが。
時の流れがもったいないくらいに感じた先の公演に比べると、時間的に長く感じた公演でした。退屈だったというわけでは全く無くて、一瞬一瞬をより堪能できたという意味で。これはケント・ナガノの、ゆったりとしたテンポの、後ろ向きに感じる音楽作りのせいかもしれません。
コンヴィチュニー演出には、一週間前には不満に感じた幾つかのシーンに、えらく感動したりもしました。なぜでしょうね?(汗) 音楽同様に、とても美しい舞台でした。
聴衆は、先の公演の方が、熱狂ぶりではずっと上で、かつ、幕後の拍手が統制がとれていたかなと。一週間前は、一幕目の終わりに、演奏がおわって会場が闇につつまれたところで、一旦拍手がおこったのですが、「シィー!」という声でとめられ、オケピットが明るくなるまでの暗闇の中、しばし沈黙でした。が、今回はダラダラと拍手が続きました。
私はこういった伝統的な「しきたり」(でしょうか?)に対しては、懐疑的に思うタイプではありますが、一方でしきたりが守られないのもなんとなく寂しいような気もしたり。一幕はともかく最終章の愛と死の後は、暗闇の間は静けさのままでいて欲しかったような。
Musikalische Leitung Kent Nagano
Inszenierung Peter Konwitschny
Bühne und Kostüme Johannes Leiacker
Tristan John Treleaven
König Marke René Pape
Isolde Waltraud Meier & Linda Watson
Kurwenal Michael Volle
Melot Will Hartmann
Brangäne Daniela Sindram
Ein Hirte Kevin Conners
Ein Steuermann Christian Rieger
Ein junger Seemann Ulrich Reß]]>
トリスタンとイゾルデ
http://hamburg.exblog.jp/7408056/
2007-11-12T08:10:00+09:00
2007-11-13T07:21:26+09:00
2007-11-12T08:10:44+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
ミュンヘンは、トリスタン好きという土地柄もあるでしょうが、久々に、劇場自体が燃えあがるような熱狂ぶりというのを体感しました。もちろん、私自身も、心の底から感動させてもらったのですが。いろいろな意味で。
演出はペーター・コンヴィチュニー。ここでは、パルシファル、オランダ人と、人気のワーグナー演出3つを手掛けているのですから、大したものです。(それでいて、なぜ、バイロイトに呼ばれていないのでしょう?)
しかしながら、正直言いますと、一幕目では、演出に対して、ややガッカリ感もあったのです(これは単に期待が高かったせいかもしれません)。でも、2幕、3幕では、シュールな美しさが強まってきて、音楽との相乗効果もあって、幕切れまで、鮮やかで美しく纏めていたと思います。
イゾルデは、当地で大人気のワルトラウト・マイヤー。今月4回公演がありますが、彼女が歌う前半2回の方が、人気が高そうです。マイヤーは調子の波があるようですけど、この夜は、一幕目で、すでに安心でした。日本でも先月同役で好評だったようですが、その好調さを持続してくれたようで、嬉しい限り。
トリスタン役はジョン・トレリーヴェン。正直言って彼のワーグナーには感心したことは一度もなかったのですが、この夜は周りの歌手陣にひけをとらない出来で、見直してしまいました。
マルケ王役パーペは、聴けば聴くほど良い歌手だなあと。2幕後のカーテンコールで彼に向けられた拍手とブラヴォーは圧倒的でした。ただパーペの場合、マルケ王があまりに格好の良い役柄になってしまうのが玉に瑕かと。マイヤー&パーペ揃い踏みは、夏のワーグナーガラ以来楽しみにしていましたが、期待以上のものがありました。
ブランゲーネのダニエラ・シンドラム、クルヴェナル役のミヒャエル・フォレも印象に残る歌唱でした。特にVOLLEは、前夜にオネーゲンを歌ったばかりなのに、力強くクルヴェナルを歌っているのですから大したものです。
ケント・ナガノ指揮によるワーグナーは、春のパルシファルに続いての成功を収めたようです。珍しく(?)、二晩続けてのGMDによる指揮で、とびっきりのオペラを堪能させてもらったことになりました。昨夜のオネーギンもかなり良かったのですが、でもやはり、トリスタンって、ずっと特別なんですよね。
Musikalische Leitung Kent Nagano
Inszenierung Peter Konwitschny
Tristan John Treleaven
König Marke René Pape
Isolde Waltraud Meier
Kurwenal Michael Volle
Melot Francesco Petrozzi
Brangäne Daniela Sindram
Ein Hirte Kevin Conners
Ein Steuermann Christian Rieger
Ein junger Seemann Ulrich Reß
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06/07年シーズン最優秀オペラ(2)
http://hamburg.exblog.jp/7290428/
2007-10-30T08:04:00+09:00
2007-10-31T20:46:57+09:00
2007-10-30T08:04:43+09:00
hummel_hummel
音楽全般
昨年も書きましたが(・・久しぶりに一年前のものを読み返してみると、昨日と同じようなことを書いています。進歩が無いですね)、この賞の選考は50名の評論家によるアンケートをもとにしています。一家言ある方たちばかりでしょうから、票が分かれてしまうのはしょうがないところ。
特に歌手に関しては、各々が推薦すべき歌手がいらっしゃるようで、今年もまた、新人部門では票が大きく割れました。そして、男性歌手部門でも該当者なし。例年、男女一名ずつが選考されてはいますが、もともと、歌手部門(Saenger/in)として特に男女分かれていない部門ですから、一人でも良いのかもしれません。
◆最優秀歌手: Christine Schäfer
クリスティーネ・シェーファーの受賞は、フィガロ@ザルツブルク音楽祭のケルビーノ役によるもの。オケ部門もそうでしたが、06年夏がまだまだモーツァルトイヤーだったことが思い出されますね。
私は、今夏のフィガロを観ましたが、同じグート演出ながら彼女はすでに降りていました(・・公演自体は涙モノと言ってよいくらいでしたが)。昨夏はフィガロの裏で歌ったドンジョヴァンニの方を聴きましたが、彼女の特性がよく出ていたと思います。つまり、オペラと言うよりも、ドイツリートを聴いてるかのような繊細なニュアンスに富んだ歌唱でした。今回の受賞には、「オペラ歌手は、声の大きさ以上に大切なものがある」という意味があるような気がします。
ちなみに、彼女は96年に新人賞をとっており、10年間のキャリアを築いた上でのこの受賞は、OPERNWELT誌自体にとっても意味のあることでしょう。
票が割れた歌手部門ですが、雑誌に写真付きで、「次点」として紹介されている歌手が、Leandra Overmann(シュトゥットガルトのイェヌーファ等), Krassimira Stoyanova(ミュンヘンのルイザ・ミラー), Eva-Maria Westbroek(エクスのワルキューレ), Zelko Lucic(フランクフルトのシモン・ボッカネグラ), Christian Gerhaher(フランクフルトのタンホイザー)でした。
シェーファーの受賞は、批評家による選考ならではでしょう(・・一般市民が選んでいれば、同じフィガロで歌ったネトレプコが選ばれてますよね!)。とはいえシェーファーだって立派なスター歌手。むしろ、次点として、レアンドラ・オーファーマンのような歌手が選ばれていることに、批評家先生の鋭さを感じました。大劇場をまわっているスター歌手とはいえないでしょうが、イェヌーファやエレクトラで聴いた限りでは、彼女ほど人の心を揺さぶる歌手はいませんから。同じ次点のジークリンデが好演だったWestbroekもイェヌーファではOvermannに吹き飛ばされた感すらありました。
上には、新人部門は票が割れたと書きましたが、実際には複数の票を得た音楽家がいます。歌手ではなく、指揮者のAndoris Nelson。リガ出身の若い指揮者ですが、すでに着実なキャリアを築きはじめており、今後の活躍に注目したいところです。
◆最優秀演出家: Stefan Herheim
エッセンでのドンジョヴァンニ演出によるもの。ステファン・ヘルハイムは、1970年オスロ生まれの若手演出家ですが、すでにスキャンダルとなった幾つかの演出で話題を振りまいています。
私はベルリン州立歌劇場での「運命の力」しか見ていませんが、オペラ演出がここまで可能性を広げられるんだと感心したものです。
他に手掛けてきた演出は、ザルツの後宮、(03)、オスロのジュリオ・チェザーレ(05)、リガのラインの黄金(06)。そして、来年の08年夏には、パルシファルでバイロイトデビューを飾ります!
次点には、カリスト・ビエイト(Calixto Bieito)が挙げられていました。シュトゥットガルトで、鮮烈な「イェヌーファ」を見た直後は、個人的な今シーズンの最優秀賞(演出家orオペラ上演部門)を与えたいと思ったものです。ただ、その後の「西部の娘」で、私はずっこけてしまったのですが(汗)。ちなみに、複数の批評家は西部の娘も高く評価していました。
◆世界初演: "Alice in Wonderland" Bayerische Staatsoper
◆衣装部門: Nina Weitzner mit "Alice in Wonderland"
ドイツ他都市の批評家達からは、評価が低めの感のあるミュンヘンですが(・・ここはドイツじゃなくて、バイエルン王国だから?)、チン・ウンスク作曲の「不思議の国のアリス」のみが受賞でした。私は来月見に行く予定です。こちらのサイトのVIDEOから、一部映像を見ることができます。如何でしょう?衣装部門(人形等含む)という点では納得でしょうか?
他部門の受賞は以下の通り。
◆再発見上演: "Il Giustino", Schwetzinger Festspiele
◆舞台美術: Robert Innes Hopkins mit "Die Soldaten", RuhrTriennale
◆CD/DVD: Wagners "Ring" unter Joseph Keilberth
◆書籍: Ulrich Schreiber "Opernführer für Fortgeschrittene.
Das 20. Jahrhundert III"
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06/07年シーズン最優秀オペラ(1)
http://hamburg.exblog.jp/7282048/
2007-10-29T08:24:00+09:00
2007-10-31T20:43:01+09:00
2007-10-29T08:24:50+09:00
hummel_hummel
音楽紀行
この、夏時間⇔冬時間の差というのは、精神的にもとても大きなものがあるんですよね。10月も決して暖かくはなかったけれど、暗黒の11月に比べれば。。
というわけで、昨日に続き、短い10月の秋を懐かしむ写真を少し貼っておきましょう。
(※写真は、南チロルのチロル村で撮ったもの)
悲しいドイツの冬の慰めとして(・・少なくとも私個人にとっては)、オペラの果たす役割は大きいものがあります。OPERNWELTの年鑑誌をパラパラと読みながら、そう思うのでした。
同誌では、06/07年シーズンの部門別最優秀賞が発表されています。このブログでは、2年前から取り上げていますので、石の上にも三年ということで(?)、今回も結果をここに載せてみましょう。
◆オペラハウス: Berlin Komische Oper & Theater Bremen
◆合唱: Berlin Komische Oper
◆指揮者: Kirill Petrenko
今回目立ったのは、ベルリン・コーミッシェ・オーパーの大躍進でしょう。
オペラハウス部門と合唱部門を受賞。そして、最優秀指揮者にも、音楽監督のキリル・ペトレンコが選ばれました。伝統あるレギーテアターとして、数々の話題の上演を質の高い音楽で提供し続けているコーミッシェ&ペトレンコの受賞には、まったくもって納得です。
最優秀歌劇場には、同票で、ブレーメンも選ばれています。同部門を、2つのオペラハウスが分け合うのは、初めてのことだそうです。
ブレーメンの選出は、初の快挙で(KOは2度目)、今後、劇場側もモチベーションが高くなるのではないでしょうか。
評価理由は、支配人クラウス・ピアヴォス(Klaus Pierwoss)の、13年間に渡る功績を称えてのこと。低予算の中で、確固たるアンサンブルを築きあげ、若手芸術家を輩出してきたブレーメンは、ある意味、ドイツの中小劇場の模範といえるのかもしれません。
◆オペラ上演部門: "Aus einem Totenhaus" Wiener Festwochen
最優秀オペラ上演は、ウィーン芸術週間での、ヤナーチェクオペラ、「死の家から」。バイロイトの指環からすでに30年以上経ち、パリのルルに次いで3度目の、そしておそらく最後であろう、ブーレーズとシェローのコンビによるモニュメンタル的なプロダクションでした。
◆オーケストラ: Freiburger Barockorchester
今回は、劇場付きのオケではなく、フライブルク・バロックオーケストラが受賞でした。これは、主に、インスブルック古楽音楽祭でのルネ・ヤーコブス指揮「ドン・ジョヴァンニ」演奏の功績によるものです。CDでこの録音を聴いて、昨年もインスブルックに足を運べばよかったと悔んだものでした。
※ちなみに、評価の対象となる公演(06/07シーズン)は、夏の音楽祭に関しては、今年ではなく、06年夏が対象となっています。
◆最悪の出来事(最も腹立たしいオペラ体験): Deutsche Oper Berlin
同じベルリンでも、コーミッシェと明暗が分かれたのが、ドイチェ・オーパーでした。政治問題となったノイエンフェルスのイドメネオ演出事件や、魔弾の射手等の失敗が大きかったようです。
今回のDOBはダントツの受賞といえましたが、次点としては、演出面で、バイロイトの指環(タンクレード・ドルスト)や、スカラのアイーダ(ゼッフェレッリ)も票を集めていました。
>>続く
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ティーレマンのR.シュトラウス
http://hamburg.exblog.jp/7274113/
2007-10-28T07:59:00+09:00
2007-10-28T08:43:35+09:00
2007-10-28T07:59:53+09:00
hummel_hummel
演奏会@ミュンヘン
更新を怠っている間に、こちらは、すっかり秋が深まってきました。今夜から、いよいよ冬時間に突入です。明日の日曜、1時間得するのは嬉しいですが、夕刻が早くなるのは悲しいです。
「黄金の10月」(Goldener Oktober)も、まもなく終わりというわけで、黄葉の写真を少し貼っておきますね。チュービンゲンのネッカー川沿いを写したものです。
今夜(10/27)は、ミュンヘンフィルの定期演奏会に出掛けていました。
ドンファン、死と変容、ツァラツストラはかく語りきの、オール・リヒャルト・シュトラウスという、いかにも、ティーレマンらしいプログラムです。他の指揮者であれば、ちょっと敬遠してしまうかもしれません。昨シーズン聴いたこちらも、「らしい」選曲でしたが。ドンファンが重なっていたことに今ごろ気づきました。(汗)
Mphilのソリストたちの名人芸と、オケ全体の甘く優しく溶け合った響きを堪能した一夜で、地元の作曲家ゆえか、シュトラウスとMphilの相性のよさを感じました。
定期にはめずらしくアンコールもあり、マイスタージンガー前奏曲を演奏。(同プログラムの3夜目だったので、事前に聞いて知ってましたが)
ワーグナーに関しても、「これをオペラ座で聴けたら堪らないだろうな」と思えるもので、ティーレマンの二人のリヒャルトは、なるべく逃さないでおこうと改めて心に誓ったものです。
さて、今夜のコンサートは、たまたま知り合いのおばあちゃま(生粋のミュンヘン人)とご一緒になりました。沢山のコンサートに通っている割には、演奏に対する批判もしなければ、熱く語ったりすることもない、物静かな方です。11歳の少女時代から、週に一度、音楽好きの父親に連れられて、演奏会かオペラに出掛けていたといいますから、その観賞歴の長さゆえ、純粋に音楽を楽しむことを知ってるのかもしれません。こういう方は、結構いらっしゃるかもしれません。
「シュトラウスが亡くなったとき、私はまだ10歳だったの。だから、残念ながら彼の指揮を実際には聴けなかったわ。父は、直接に知っていたけど。」
この言葉で、彼女が70歳だということも分かったのですが(それまでは、失礼で訊けなかった)、周りを見渡すと、高齢の聴衆はとても多いわけで、つまり今夜の作曲家と同じ時代(・・幸せな時代とはいえないはずですが)の空気を吸っていた聴衆というのは、ごく普通にいるわけですよね。当たり前のことですが。
アンコールのマイスタージンガー序曲を聞いた後、
「私が人生で初めて見たオペラは、マイスタージンガーなの。戦後間もない頃で、破壊された州立歌劇場が使えず、プリンツ・レゲンテン劇場での上演だったわ。指揮はクナッパーブッシュ。もう涙がボロボロと溢れてとまらなかった。とても長いオペラだし、私はまだ子供だったのに、不思議よね。以来、何度も聴いたオペラだけれど、この特別な曲をティーレマンで聴けるのはとても嬉しいわ!」と。
今夜、多くの聴衆が、彼女と似た感慨を抱いていたのではないかと思うのです。
Richard Strauss
"Don Juan" op. 20
"Tod und Verklärung" op. 24
"Also sprach Zarathustra" op. 30
Christian Thielemann, Dirigent
Münchner Philharmonikern
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ロベルト・デヴェリュー
http://hamburg.exblog.jp/7201182/
2007-10-17T19:31:00+09:00
2007-10-17T19:59:28+09:00
2007-10-17T19:31:43+09:00
hummel_hummel
オペラ@ミュンヘン
昨年6月に同プロダクションを見てはいるのですが、その時はあまり良い印象を受けませんでした。まずは開演前のグルベローヴァ不調のアナウンスにがっかり。「先の公演では、途中から声が出なくなり、演技のみだった(グルベローヴァが口パク!)。しかし、今夜は不調をおして歌ってくれます」と。公演自体も、全体的に、集中力に欠ける散漫な印象を受けてしまいました。もっともこれは私自身の集中力の問題だったかもしれません。
ちなみに、その夜は、とても暑い6月の夜で、オペラ座から一歩外に出ると、サッカーワールドカップで、街中は盛り上がっていました。終演後、賑やかなブラジル人やオーストラリア人に囲まれながら、ビールを飲みながら見ていたイタリア対アメリカ戦が懐かしい。あの時はまさかイタリアが優勝するとは想像できませんでした。あれから、まだ1年半も経っていないのですが、随分昔話のように思えます。話がそれました。
ロイ演出は、舞台を現代のイギリスに移し変えたもので、以前感じた程には悪いとは思いませんでした。一幕目はいささか退屈でしたが、2,3幕は悪く無い。
あらすじはさておき、物語の人物関係は、ロベルト・デヴリュー(T)とサラ(Ms)という愛し合う二人を中心に据えつつ、ロベルトを愛するエリザベット女王(S)と、親友でありサラの夫ノッティンガム公爵(Br)を配置。劇としても歌唱としても、4者のバランスがよくとれたオペラではないかと思います。
グルベローヴァは、かつてのように、幅広い音域を苦も無く自然に歌いこなすのは、さすがに年齢的に苦しいかなという気もしました。それでも、聴かせどころでの会場を巻き込む集中力の高さや、完璧といっていい声のコントロールは健在だったと思います。
同じ舞台に立ってらっしゃった篠の風さんによれば、この夜のグルベローヴァはいつになく気合いが入っていたとのことで、それは、私達聴衆にも充分に伝わってきました。
カーテンコールでも、ミュンヘンで人気の高さを伺わせるものがあり、絶大なブラボーを受けていました。ただ、以前に比べると、客の帰りが早いかもと。勿論、他の歌手で、ここまでのカーテンコールを受ける人は稀ですが。
しかしながら、一部の熱狂的なファンは、ずっと居座りつづけて、熱烈な拍手を送りつづけていました。グルベローヴァは、延々と他の出演者をひっぱって、幕間から姿をあらわします。「もうこれで切り上げるだろう」と、何度も思いましたが、少数のファンの歓声にもずっと応えつづけ、この辺りのファンサービスぶりはすごいです。
最後の最後で(・・と思ったら違ったのですが)、再び幕が全開に。舞台上はすでに大道具の撤収がかなり進んでいました。これでお仕舞いの合図、と思って私は客席をはなれましたが、その後も、まだまだ拍手と歓声が、聞こえてきたのでした。
Roberto Devereux
Gaetano Donizetti
Musikalische Leitung Friedrich Haider
Inszenierung Christof Loy
Elisabetta Edita Gruberova
Herzog von Nottingham Paolo Gavanelli
Sara Jeanne Piland
Roberto Devereux Zoran Todorovich
Lord Cecil Maximilian Schmitt
Sir Gualtiero Raleigh Steven Humes
Ein Page Robertos Nikolay Borchev
※ドニゼッティの街、ベルガモ(1)、(2)]]>
シャッヘンの王の館(2)
http://hamburg.exblog.jp/7162840/
2007-10-11T22:30:00+09:00
2007-10-11T22:45:12+09:00
2007-10-11T22:30:49+09:00
hummel_hummel
歴史紀行
ようやくに、シェッヘン城(Königshaus am Schachen)に到着しました。標高1866メートル地点ゆえに、9月末で雪景色。
ルートヴィヒ2世の宮殿でありながら、ここの知名度が低いのは、アクセスの困難さゆえだと実感しました。バラの島(Roseninsel)もアクセス不便でしたが、シャッヘンはその比ではないですね。王の宮殿見学というよりも、アルプスの山歩きと捉えたほうが良いです。
高い山の上とはいえ、すでにかなりの訪問者がツアーが始まるのを待っていました。お子さんや犬を連れた人たちも多いです。お父さんが赤ちゃんを背負って山に登る姿は、バイエルンでは普通に見られる光景です。犬達も、嬉しそうに、雪の中を走り回っています。
シャッヘン城すぐ下の山小屋レストラン(宿泊設備有り)
入場は、見学ツアーに限られており、07年の場合は、5/25~10/7の毎日、11,13,14,15時発でした。見学の前後は、すぐ下に山小屋レストランがあるので、雄大な山を眺めながらのんびり過ごすのも良さそうです。
この山城は、1869年から1872年にかけて、ゲオルグ・ドルマン(Georg Dollmann)の設計で建てられた、スイス山荘風の木造建築です。外観は新しく、修復はおこなっているようですが、内部の調度品は全てオリジナルとのこと。
書斎に掛けられている絵は、ワーグナー・オペラが題材
地上階(1階)は、外観から予想される通り、木造の簡素な山荘風の部屋が5つ。建物内は季節ゆえ、かなり冷えきっていましたが、当時は、地下のキッチンからの熱で、館全体に暖房をいれていたそうです。もちろん、暖房のためだけではなく、台所では、ルートヴィヒ2世のために、豪華なコース料理が作られていたとのこと。
寝室の窓はステンドグラスでした
寝室も簡素で、ベッドも割と小さく感じられました。小部屋のトイレを見ても、高い山の上での処理は大変だったろうと思ってしまいます。(この手の城では、大抵WCも見学コースに組み込まれていますね)
1階を見る限りは、興味深くはありましたが、基本的には、外観から想像できる範囲内だったでしょうか。しかし、2階にあがってみると仰天でした。狭い螺旋階段を順番にのぼっていくと、そこは、、
煌びやかで妖しいトルコの間
2階部分は、仕切りが無く大きな一つの広間になっており、「トルコの間(Tuerkishcer Saal)」と呼ばれる、煌びやかでオリエンタルなホールでした。いやはや、1階部分からは予測ができませんでした。
オリエンタリズムは、時代趣味ではあったでしょうが、これほど山奥の不便な場所に、トルコ世界を持ち込まなくても。。調度品は、わざわざイスタンブールから取り寄せたとか。
この広間で王は、トルコの太守(セリム)の姿をして過ごしていたといいます。さすがルートヴィヒ2世、ただ者ではありませんね。窓の外に広がる雄大な山々の健康的な景色を眺めながら、不健康な空間で過ごしていたのですね。ともかく、この広間を見れただけでも、はるばるとシャッヘンまで来た甲斐があったものです。
見学を終えると、車を停めた麓のエルマウまで戻りました。
後で調べてみて、ガルミッシュ・パルテンキルヘン方面から、パルトナッハクラム(Partnachklamm)を通ってゆくルートの方が、ずっと素晴らしい眺望が楽しめたと知りました。来年は、そちらのルートを試してみましょう。ただし、歩く距離はずっと長くなるので、シャッヘンの山小屋で一泊となるかもしれません。
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シャッヘンの王の館(Königshaus am Schachen)
http://hamburg.exblog.jp/7155866/
2007-10-10T22:02:00+09:00
2007-10-11T22:37:51+09:00
2007-10-10T22:02:20+09:00
hummel_hummel
アルプス・自然・マラソン
アクセスがあまりに不便な土地ゆえ、なかなか行く気になれなかったのですが、10月始めにして、早くも長い冬季休業に入ってしまうと知り、思い切って出かけてることにしました。
ガルミッシュ方面に行くのは、ちょうど1ヶ月ぶりだったのですが、まずは、黄葉の美しさ、そして、山々の雪をかぶって様変わりした姿に、アルプスの秋の短さを思い知らされました。
車でのアクセスの場合、ガルミッシュ・パルテンキルヘンを過ぎて、南東へ向かい、ミッテンヴァルトの少し手前のクライス(Klais)で降ります。村はずれからは、入場料(1日3ユーロ)を払って、山間の私道を、エルマウ(Elmau)へ。
途中、羊の群れにぶつかり立ち往生。。(運転席で、呑気に写真を撮っている自分も自分ですが。。)
一匹の羊に、道を譲ってあげたら。。 他の羊たちも次々に。。
エルマウ城を通り過ぎて、山の麓へやっと到着。車を降り、いざ、シャッヘン城へ!と、意気込んだところ、所要3時間という標識をみて、早くもどっと疲れが。。まあ、気楽に登りましょう。
しばらくは、小川沿いのよく整った山道を進みます。車窓から眺めていた美しい黄葉も、山に入ってみると、すでに盛りを過ぎた感がありました。山の秋は9月末にして、もう終わりを迎えていました。
針葉樹の多い割と単調な道を延々とのぼってゆきます。マウンテンバイクで登っている人達も結構いました。いつも思うのですが、こういった山道を自転車で登り切るのは大した体力です。スピードの出る下りは楽しそうですが。
黙々とのぼってゆくと、その甲斐あって、やがて山々の絶景が前方に現れてきました。そして下界には、針葉樹の緑と、広葉樹の黄葉が入り混じった景色が広がっています。
「秋の山はいいなあ」と呑気に歩いていると、やがて、雪景色に。。遠くに見えてきた、王の家(Königshaus am Schachen)も、銀世界の中に建っていました。
9月の終わりにして、シャッヘンは雪景色でした。
⇒続く]]>
メータ&神尾真由子、etc.
http://hamburg.exblog.jp/7151763/
2007-10-10T07:45:00+09:00
2007-10-10T07:56:53+09:00
2007-10-10T07:45:10+09:00
hummel_hummel
演奏会@ミュンヘン
指揮はズビン・メータ。前音楽監督ということで、ミュンヘンでの人気はなかなかすごいものがあります。ちなみに、同時期に、平行してミュンヘンフィルでも振っていました。メータは、Mphilでは名誉指揮者の地位にいます。
オペラ座内のメータ像です。ご本人は気に入っているのでしょうか?
前半にチャイコフスキー2つで、後半は春祭というプログラム。メータらしさと、オーケストレーションを楽しめたのは、後半でしたが、最も印象に残ったのは、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でした。ソリストは、神尾真由子さん。
彼女はチャイコフスキーコンクール優勝で一躍脚光を浴びているようですが、このオペラ座への出演は、それ以前に決まっていたはず。コンクール優勝のニュースを聞いて、「秋にメータと共演する人だ」と思った記憶があるので(私の記憶違いということもありますが・汗)。経歴を見ても、若くしてすでにキャリアを積んだ方なんですね。
神尾さんは、テクニック勝負の人かなという勝手な思い込みをしていたのですが、良い方にはずれ、情感たっぷりで(ある意味日本的に思えたものの)、「聴かせる」チャイコフスキーで、聴衆の心をとらえていたと思います。ミュンヘンでのデビュー(でしょうか?)は、大成功に終わりましたね。
Ouvertüre zu "Romeo und Julia"
Konzert für Violine und Orchester, D-Dur, op. 35
Peter I. Tschaikowsky
"Le Sacre du Printemps" Igor Strawinsky
Leitung Zubin Mehta
Violine Mayuko Kamio
Bayerisches Staatsorchester
メータといえば、8月に、シュトゥットガルトのヨーロッパ音楽祭(Europäisches Musikfest Stuttgart 2007)で、イスラエルフィルとの演奏会を聴きました。3晩続けてのマーラーコンサートで、私が行ったのは中日。前半がシェーンベルク「浄夜」オケ版、後半がマーラー1番。選曲といい、演奏といい、ユダヤ性をもろに感じてしまったのは、先入観のなせるわざだったでしょうか?
イスラエルフィルといえば、マーラー演奏は十八番でしょうが、ちょうど、「トーブラッハの作曲小屋賞」というのを受賞したニュースも入りました。
IPOがドイツで演奏すること自体が、政治的なことになってしまうようで、シュトゥットガルトの後は、ニケ・ワーグナーが総裁をつとめるワイマール音楽祭に出演で、ブッフヴァルト強制収容所跡で、記念演奏会を開いていました。
話は変わりますが、パヴァロッティが亡くなったとき、その直前にメータ指揮に接していたこともあって、二人が同い年(71歳)ということに少し驚きました。歌手に比べると、当たり前ですが、指揮者は高齢の方でも活躍している人って多いですよね。一般の職業であれば、退職する年齢を超えてから、円熟味が増してくる指揮の仕事というものは、奥深いものがありますね。
高齢の音楽関係者といえば、バイロイト総裁のヴォルフガング・ワーグナー。8月末に88歳になられました。ここまで総裁の地位にいたのは、娘カタリーナの成長を待ってのことでしょうが、確かに早く後継者を決めた方が良い年齢でしょう。88歳にして、29歳の娘がいること自体が若さの秘訣でしょうか。11月6日から後継者選びの審議がはじまります。どうなるでしょうか?
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